セックスレスを解消する方法があればもちろん解消するに越したことはありません。ただ、夫婦といえど元は赤の他人。お互いのすべてを完全に理解し合うことは難しいこともあります。
今回セックスレスの体験談を報告してくれた既婚30代女性は、セックスレスを受け入れ、セックスに執着しすぎずにセックス抜きの夫婦の関係、家族のあり方を見つめ直すことで、セックスレスのストレスから開放されました。今セックスレスに悩んでいる方に是非ご覧いただければと思います。
告白が遅ければ親友に?今でも仲の良い主人との出会い
主人と付き合いだしたのは23歳の時でした。新入社員で初めての配属だったのは大阪。関東出身のため友達も少なく、少しでも友達を増やしたいと色々な飲み会に顔を出していました。
そんな時、友人主催の飲み会で出会ったのが主人でした。初めて会った時から気が合っていたように思います。その後も何度かみんなで集まり、どんどん仲良くなっていきました。
ある日、みんなで出かける約束をしていたのですが、主人の友達も私の友達もトラブルで来れなくなってしまい、本当に偶然、主人と私の二人で出かけることになりました。街をぶらぶらした後飲みに行き、終電を逃し、主人の家に行くことになりました。主人とはそのまま同じベッドで寝たのですが、何事もなく平和に朝を迎えました。
後日聞いたところ、私との今後を考えてくれていたようで、先にセックスして遊び相手になってしまうことが嫌だったそうです。男友達の家にふらふらついていくような女に、よく真剣にそこまで考えてくれたなぁと頭の下がる思いです。
それからも主人とはたまに遊びに行っていたのですが、ある日突然、酔って電話をかけてきて告白されました。友達関係を崩してしまうのが怖く、酔っ払わないと言えなかったそうです。私も驚きましたが、嬉しくてすぐにOKしました。
「告白があと数ヶ月遅かったら、きっとお互いを『親友』いうカテゴリーにしてしまって、付き合わなかっただろうね。」と話したこともあるほど、友達か恋人か、どちらに転んでもおかしくないくらいのギリギリの分岐点で、恋人という選択肢を選んだ私たちです。おかげで今でも友達のように仲が良い夫婦です。
徐々にセックスレスへ
思い返してみれば、付き合ってすぐの頃からセックスは少ない方だったと思います。
私のサバサバした性格もあり、セックスのムーディな雰囲気がちょっと苦手なのと、主人もあまりたくさんセックスしたがる人ではありませんでした。
その頃は、セックスが少ないことはそこまで気にならず、毎日楽しく暮らしていました。セックスの回数は、付き合い出しの頃は週1回、半年後には2週間に1回ほどになっていたと思います。
付き合って1年後に同棲を始め、そこから結婚するまでは2〜3ヶ月に1回あれば良い方というペースだったと思います。
週末には必ず二人で飲みにでかけていて、酔っ払って帰ってそのまま寝てしまうことの方が多かったです。結婚を決めた時、会社の大先輩に、「今からそんなにセックスしてないと、すぐセックスレスになるから結婚やめといたほうがええ」「セックスなしでは生きていかれへんくなるで」と言われたほどです(笑)
セックスレスを感じるようになったのは子供が生まれてからです。27歳で妊娠してから出産まではもちろん一度もなく、追い打ちをかけるように産後すぐに主人の海外駐在が決まりました。
息子が1歳頃になるまでほとんど会うことができず、その時点で妊娠していた時期を含めて1年半以上セックスをしていなかったと思います。でも、状況が状況なので、それも仕方ないと思っていました。
しかし、数少ない彼の一時帰国の時も、私が海外赴任先に着いた日ですら、何もありませんでした。徐々に私の中に、「子供を産んで女性としての魅力がなくなったのではないか」という気持ちが芽生えました。
おかしな話で、もし子供が生まれず単純にセックスの回数が減っただけなら、「セックスレス」をここまで感じることは無かったのではないかと思います。でも、出産で崩れた体型やおしゃれができない環境から自己肯定感が下がり、強い不安を覚えるようになりました
「セックスレス」の始まりでした。
解決へと奔走
それからもレスな日々は続きました。駐在員は本当に夜の会食などが多く、毎日くたびれている主人が、自分からセックスしようとする事はありませんでした。
そんな状況を知りながらも、なんとかセックスレスを解消したい!と奔走しました。今思えば、元々セックスレス気味で一人目の子供ができたことも奇跡なくらいだったのに、その頃は二人目が欲しい!という気持ちが強くあった時期でもあり、焦りに拍車をかけていました。
土曜などの翌日予定がない日を選び、「今日エッチする?」と単刀直入に言ったことも多々あります。その度主人はうん、しよう!と言うのですが、もともと友達のような関係なので、セックスする雰囲気にならず、結局ハグなどのスキンシップでふざけ合って寝てしまうのです。
恋人に「好き」と言い過ぎると、相手の感覚が麻痺して、だんだん「好き」が軽くなると聞いたことがありますが、それと同じで、「エッチしたい」という言葉も、たくさん言い過ぎると良くないようで、主人も私も感覚が麻痺していました。
その頃の私はすぐ「エッチしたい」と口に出し、毎度同じような結末を迎えていました。心の底に恥ずかしい気持ちがあり、少しふざけた言い方しまったのも悪かったと思います。そして、二人で晩酌をしているときは、「もし二人目が生まれたらさぁ‥」などと、セックスに結びつくような話をしょっちゅうしていました。
世の中には予定を合わせて、多少義務感を感じてもセックスできるご夫婦はたくさんいらっしゃいます。でも、私たちはそういうことができない夫婦だと私自身感じているのに、焦りからこう言った行動を取っていました。主人に二人目、三人目の子作りのプレッシャーを与え、ふざけた感じでしょっちゅうセックスに誘う・・・自分の首を自分で締めている状態でした。
異国の地・慣れない子供との日々・朝方まで連れ回され、酔って帰ってくる主人。排卵日が憂鬱で、何もしてこない主人にイラついたこともありました。今振り返ると、毎日が穏やかではありませんでした。
結論
右往左往した結果、私なりの解決策を出しました。端的に言うと、セックスレスを受け入れました。子供が3歳半になった今も、いまだにセックスレス更新中です。でも、昔のようなギスギスした気持ちにはならなくなりました。
コロナがまだ流行る前、二ヶ月ほど長期で日本へ帰国することがあり、戻ってきた時に「エッチしたいと自分から言うのはやめよう」 と心に誓いました。なぜそう思ったのか特に明確な理由はありませんが、単純に頑張ることに疲れたというのが正直なところかもしれません。
主人と離れていたこともあり冷静になれたことと、半分はその時の気分で決めたような感じでした。それ以降、自分から誘うことはなく、子供が欲しいと主人の前で言うこともやめました。主人の方からも、セックスしたいと言ってくることはありませんでした。少しもやもやした気持ちは残りましたが、エッチしたいと口に出して結局せずにガッカリ、ということもありませんでした。
セックスレスを完全に受け入れた転機は、ある晩二人で晩酌をしていた時に訪れました。ふいに、セックスレスの話題になりました。面と向かってこの話をしたことはなかったので、まさか主人が話し出すとは思わず、驚きました。私が恥を忘れ、エッチする?としょっちゅう口に出したことで、主人はだんだんセックスに抵抗が出てきたようです。
女の人より男の人の方が繊細と聞きますが、本当にそうだと感じました。そして、実は彼なりに悩み、親友に、どうやって子供が寝ている中でセックスするのかと相談したことがあったようです。私から見ていた彼は、セックスに興味が少なく、私のことは女性ではなく「母」として見ているイメージでした。そして、セックス事情を友人に話すタイプにも見えませんでした。
セックスレスのことを彼なりに考え相談までしていたという事実を聞き、なんだか心が急に軽くなりました。彼にセックスレスの当事者意識があったことを安心したのか、自分を「母」ではなく一応「セックスの対象」として見てくれていたとことが理由なのか、自分でもよくわかりません。
結果いまだにセックスレスなので、なんでそんな些細なことで!と思われるかもしれませんが、その日を転機になぜかとても冷静になり、本当に私はセックスしたいのか?と自分を見つめ直しました。そして、夫婦関係をギスギスさせてまで二人目の子供が欲しいのか?と思うようになりました。私の結論はNoでした。セックスをしなくても、家族3人で幸せならそれでよし。と思えるようになりました。
今セックスレスで悩んでいる方へ
セックスレスで女に見られていない、私が何か悪いのかも、浮気しているのかも・・・など悩み事が尽きないですよね。もちろんお互いがしたいと思った時に愛情あるセックスをするのが一番の理想かもしれません。でもやはり夫婦とは言え他人。自分の理想を押し付けるのは自分だけが幸せであって、相手が幸せでないと言うことを、私は自分に言い聞かせることにしました。
私のような解決法を取ると、「自分だけが我慢してセックスレスに耐え抜く」と言う感覚になる方も大勢いらっしゃると思います。主人に無理やりセックスをさせ自分が満足するか、自分が我慢して、セックスしたくない主人が満足するのか・・・そのように極端に考えてしまう方は、正直この解決法は難しいかもしれません。
私は、どちらも満足いくような形にしたかったので、自分の考えを改め、夫婦の均衡が取れるようにしました。こう書くと、私ができた奥さんである感じがしますが、未だにあわよくばいつかセックスをして、二人目の子供が来てくれたらいいなぁという気持ちは心の奥深くにあります。人間ですので、100%切替えることはできません(笑)
でも、無理に大人のおもちゃを用意したり、過激な下着を着用して誘ってみたり、自分が無理をして誘って断られ、排卵日のたびにギスギスイライラし、自分の魅力がないせいだと落ち込み・・こんなの楽しくないですよね。
私は自分がストレスなく暮らせる方法を取りました。心の底から本音でセックスしなくて良いと思っているわけではありませんが、セックスレスを受け入れた事で色々なストレスから解放されました。
もしセックスレスに悩む方がいらっしゃれば、セックスに執着しすぎず、ご主人と自分の「セックスを抜きにした関係」や、家族のありかたと言うものを、見つめ直してみると良いかもしれません。綺麗事かもしれませんが、これが私なりのセックスレス解決策でした。