妻との出会いから付き合うまで
妻との出会いは職場、典型的な職場結婚です。
場所は北海道東部の小さな町です。
ただ、その時点で二人ともそれぞれ結婚を約束した相手がいました。
昭和のイケイケ時代ですから、職場での飲み会が月に1~2回はあります。その都度さりげなくお互いの彼と彼女のノロケ話をしていました。お互いの共通点は『遠距離恋愛』でした。私の彼女は東京に、妻の元カレは大阪にいました。
長期間の(といっても当時は週休2日制もないブラックな時代、せいぜい3日です)休みを取っては、それぞれ東京と大阪へ合いに行きます。
そんな環境にあって二人が急接近したのは私の転勤が決まった時です。送別会の二次会が終わり、お酒を飲まない私がいい気持ちに酔った彼女を送って行った車の中で一線を越えました。翌日、職場で目を合わせた時の気まずさと恥ずかしさが忘れられません。
仕事が終わり車で喫茶店へ行きました。昨日のことは一回きり、お互い結婚を前提にした相手がいるのだから、もうあんなことは止めようと約束しました。
しかし、それは無理でした。約束したその日に彼女を送り、そのまま部屋で。お互い罪悪感を抱きながらもズルズルと関係が続き、長期休暇の際はそれぞれ暗い気持ちで東京と大阪に向かいました。相手に気付かれなかったことに安心して、いつもの生活に戻ります。転勤したといっても住んでいる場所は車で30分、週に3~4回、多い時はほぼ毎日逢瀬を重ねました。
その間、関係を終わりにしようと何度も話しましたが、できませんでした。ついにそれぞれの相手に気付かれて、別々の日でしたが、東京と大阪から乗り込んできました。大阪の妻の元カレは私を交えて話すこともなく帰りましたが、私の元カノは私と彼女の前で泣きわめく、私の職場に来る。同僚の前で私に罵詈雑言あびせる、『上司にこのことをぶちまける』と脅してきました。
時間はかかったのですが、お金での解決を求めてきました。当時の私の月給の数十倍、とんでもない金額です。しかし、妻は『結局お金ね』と承諾。長期のローンを組んで地元の信金からお金を借りて払いました。元カノは大金を要求したので私達がすぐに応じてくれるとは思わなかったのでしょう。その後は何も言ってきませんでした。私達は大きな壁を乗り越えて結婚しました。結婚後の性生活は順調でした。
セックスレスのきっかけは妻の更年期障害
お互いに当時付き合っていた彼女と彼氏を裏切っての結婚ですから、罪悪感は口には出しませんが、ありました。その分互いを尊重して生涯連れ添って行こうと思いました。
性生活は友人や職場の同僚、サークルの仲間達からさりげなく聞き出す情報で、回数も中味も充実していると満足していました。
大きく変わったのは、妻が40歳半ばを越えて閉経期を迎えた頃からです。子ども達も家を出て、避妊に気を使うこともなく、存分に性生活を楽しめるね、などと周りから冷やかされましたが、妻が変わりました。
それまでは妻の方が性生活で積極的でした。若い頃はスポーツとは無縁で、子育てが終わってからバドミントンやテニスを始めると、みるみる上達、それに平行して性欲も増進したかに見えました。私たちは加齢に伴いセックスの回数は減りましたが、内容は充実していました。ところが妻の閉経後、体調が極度に悪くなったようで、病院で更年期障害と診断されました。軽いうつ状態にもなり、仕事が忙しく帰宅も遅い私に不満をぶつけます。たまにセックスの相手をしてくれましたが、あまり感じてくれません。私も勃起力が弱くなりました。
これはまずい、サプリ等の力を借りよう!
巷にはセックスに関する情報があふれています。まずは書籍で調べました。若い頃は充実したセックスライフを送っていながらも『セックス・HOW TO』本や体位の本をあれこれ読んで研究したものです。エロビデオを二人で観てからのセックスも良かったです。
じゃあ当時を思い出してグッズやサプリも研究しよう、と購入しました。グッズに関しては2~3回試したものの、妻は使うことをいやがりました。サプリも高い漢方薬系を試しました。私は効果があった気がしましたが、勃起力が高まるよりも他の部分、例えば疲れにくくなった、肌にできた吹き出物が消えた等の改善は見られました。
セックスライフの質を高めるサプリやグッズは気持ちが高揚しなければ効果なし
ハードな仕事から解放された休日の前夜はなぜか気持ちが高ぶり、妻を求めます。
妻もイヤイヤつきあってくれますが、かつては感じた部分を痛がったりします。すると、こちらも萎えます。それに対して妻はできないのなら止めましょうと、醒めた調子で言います。もう戦闘意欲は薄れ、完全に勃起不全です。
高価なサプリも単なる疲労回復剤で終わります。塗り薬も購入しましたが、薬品の成分をチェックした妻は副作用がこわいと使用を拒みました。女性用の媚薬も各種あり、ネット通販でもドラッグストアでも簡単に入手できます。効果を期待して使わなければ、単なるドリンクやかゆみ止めのようなもの。グッズも管理をきちんとしなければ、不潔と言っていやがります。結局捨てました。
かくして二人の間は完全に冷え切りました。周囲にもいる熟年離婚はこういうことで起こるのか、と納得しました。
ところが、妻の母の死がきっかけで徐々に夫婦関係が修復されました。
妻の母が残した農地を管理しなければならなくなったのです。妻には3人の姉兄弟がいるのですが、いずれも体調もすぐれず、土地を引き継ぐ意思がありません。妻が引き継ぎました。広い土地の一部は貸しています。古い家屋と納屋をこわした土地と義母が使っていたテニスコート4面ほどの畑が残りました。
隣近所がすべて農業の土地柄、放棄地にはできません。週に一度は車で2時間の妻の実家跡地へ通わなければなりません。しかも荒地はダメ、野菜や果物を植えるのです。雑草畑は周囲から一番嫌われますので、月に2回は草刈りです。畑の作物の間にもどんどん雑草が伸びます。腰がいたくなる重労働です。
夫婦ふたりの協力なしにはできません。退職後ヒマを持て余すどころじゃありません。農作物の育て方、農機具の操作を逐一ネットで調べて取り組みます。閑散期?冬です。今年の冬の予定は相当の収穫が予定されるソバ・豆類、サツマイモとかぼちゃの乾燥と加工に時間が割かれるでしょう。
セックスレスで悩んでいる方々に向けてメッセージ
昨年数年ぶりに中学のクラス会に参加しました。遠方からも集まり、当時のクラスの半数位が参加しました。男女比も半々です。宴席が最高潮になった時に当時はあまり目立たなかった級友が『みんな何回くらいセックスしている?俺は毎日』と宣言しました。そして微に入り細に入り、奥さんや愛人とのセックスについて語ります。女子(今は還暦熟女)の大半はあきれ顔です。還暦過ぎて複数の女性と毎日セックス!嘘ではないようです。
セックスは個人差が大きすぎると内心ショックでした。でも、どんなに頑張っても彼のようにはなれないのです。現実を受け止めるしかないのです。バイアグラも媚薬もありますが、副作用がこわいです。それを使うのも個人の自由です。多くの書物を読むと『射精というエンディングを目的にしないで、キスしあう、抱き合う、マッサージし合う、その過程を楽しむだけでも良い』と書いてあります。やってみたけど、長くは続きません。ましてコロナ禍にあって、夫婦、恋人間でもソーシャルディスタンスを守らなければなりません。
共通で取り組めるものがあるかどうかで、セックスレスの悩みは少しでも解決できるのではないでしょうか。それぞれが違う趣味に没頭。趣味ではないのですが、私たち夫婦は必死で畑の管理をします。食事の用意と後片付けは手伝いますよ。それ以外は別行動です。読書の傾向が全く違います。互いの読書に干渉しません。違う時間、違う場所で勝手に本を読みます。
性欲?私は自慰で解消します。勃起力が弱いとセックスは無理ですが、自慰はできます。妻は?わかりません。テレビで瀬戸内寂聴さんが女性は90歳すぎてもエロいモヤモヤ感を感じるの、とおっしゃっていました。でも51歳からセックスレスだそうです。妻は同意したような笑みを浮かべて観てました。妻なりの解消法があるのでしょうね。
セックス観やセックスの取り組み、そして満足度は十人十色です。他人のセックス観に影響されてはダメです。セックスレスも工夫次第です。
本でもネットでも自慰の材料はたくさんあります。自慰で満足できるのなら、それはそれで良いでしょう。夫婦や恋人がセックスは負担だけど自慰は手軽と言うのなら、それを認め合うべきです。
セックスレスでは真のコミュニケーションが取れない、と言われる方もたくさんいます。私は必ずやそうとは思いません。コロナ禍のセックス観も大きく変わり、セックスレスは消してマイナス要因ではないと確信します。